だからアナタに殺されたい。
「…っ!」
その光景があまりにも扇情的で、私の本能を煽った。
体の奥から熱を感じ、喉がカラカラに乾いていく。
とても、美味しそうだ。
先ほどまではなかった感覚に、何故、と嫌悪感を抱く。
だが、その嫌悪感は私の中に際限なく広がる欲望によって、すぐに消えていった。
食べてしまいたい。
滴る血に、赤く染まっていく騎士服。
私を見つめるローゼルの瞳はどこか熱っぽく、まるで何かを切実に求めているようで。
…だ、だめ。
私は自分の抑えきれない本能に、まぶたを強く閉じた。
私にはもうタブレットがある。
今までは緊急を要していた為、仕方なくローゼルから血をもらっていたが、今はその必要はない。
今欲望に任せて、ローゼルの血を吸うということは、自ら〝バケモノ〟であることを選んだことになる。
そう強く思っているはずなのに、誰にも吸われず、流れていく血を、私はどこかでもったいないと思ってしまった。
ふらり、と足が動く。
まるで吸い寄せられるように、ローゼルの首へと顔を近づける。
目の前に迫る逞しい首筋と美しい赤。
あとたった数センチ。舌を伸ばすだけ。
「…」
しかし私はギリギリで自分を制した。
バケモノなんてなりたくない。