だからアナタに殺されたい。
10.崩れゆく理性
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タブレットがすぐそこにあるにも関わらず、ローゼルから血をもらう日々を続けて、1ヶ月。
ある日、こんな生活に終止符を打つ為に、私はタブレットを飲んだ。
…が、何故か強い吐き気に襲われ、気がつけばそれを吐き出していた。
そしてその日を境に、何度も何度もタブレットを飲もうと試みたが、それは叶わなかった。
その結果、私はタブレットがあっても、ローゼルを頼らなければならない体になってしまった。
何故、タブレットを突然受け付けなくなったのかわからない。
自分の血を採取し研究しても、文献を読み漁っても、何も情報を得られない。
解決方法のわからない謎の症状に、私はただただ頭を悩ませていた。
このままでは好きな人を…ローゼルを…一生食らいながら生きなければならない。
ローゼルはいつも「殺していいんですよ」と熱っぽく囁くが、あれは恩人に恩を返そうとしての行動だ。
ローゼルとは、そういう義理堅さとわかりづらい優しさのある人なのだ。
そう思うたびに胸が痛んだが、この血を求める衝動は抑えられなかった。
タブレットを摂取していた時は、1日1回でよかった血の摂取。
だが、今では何故か1日のうちに何度も何度もローゼルの血が欲しくなった。
朝起きて、出勤と同時に、昼食時にふと。退勤後にローゼルの姿を見て…など、タイミングは様々だが、突然、抗い難い欲が私に押し寄せる。
なので、疼いて疼いて我慢ならない、禁断症状の予兆を感じた時だけ、私はローゼルの姿を探し、ローゼルを頼った。
ローゼルはそんな私の前にいつもどこからともなく姿を現し、優しく手を差し伸べてくれた。