だからアナタに殺されたい。
エレノアは日に日に俺を求めるようになっていった。
彼女に求められるたびに、俺は自分の存在意義を感じ、満たされた。
ああ、やっと、俺はアナタの人生に必要不可欠な存在へとなれたのだ。
もう、離れられない。
俺は大勢のうちの1人ではない。
かつて助けた誰かではない。
それがどれほど喜ばしかったことか…。
ーーーそれなのに。
帝国の聖女が、忽然と姿を消した。
帝国の聖女が消えた日。
その日も俺は変わらず、いつものようにエレノアのことをずっと待っていた。
朝のミーティング後。昼の任務後。皇宮内を移動中。
ずっとその時をまだかまだかと心待ちにしていたが、エレノアは俺の前には現れなかった。
ならばと、今度はいつも通り適当な口実を作り、何度も何度も救護室へと顔を出し、自分からエレノアに会いに行った。
だが、何故か何度訪れてもそこにエレノアの姿はなく、ついに一度もエレノアに会うことは叶わなかった。
さすがに疑問に思った俺はその日の業務を終えた後、救護室でエレノアとよく喋っていた若い女の薬師に、エレノアについて聞いてみた。
すると、彼女は信じ難いことを口にした。
『エレノアね…。実は、今日突然、帝国騎士団救護隊を辞めちゃったの』
悲しげな彼女の言葉が信じられず、俺は自分の耳を疑った。
そんな俺に彼女は続けた。
その日の朝一番に突然エレノアの両親が救護室に現れ、エレノアからの手紙を渡してきたことを。
その手紙には、続く体調不良により復帰が難しい為、救護隊を辞める旨が記されていたそうだ。