だからアナタに殺されたい。


エレノアはたった紙切れ一枚で、帝国騎士団救護隊を辞職してしまったのだ。
手紙を持ってきた両親からは特に何も語られなかったようで、誰も詳しいことはわからないようだった。

本当にエレノアは復帰が難しいほどの体調不良なのだろうか。
昨日もいつも通りの姿で、俺に会いに来てくれたというのに。
毎回血を求めるエレノアは確かに辛そうではあったが、血を飲み終えた後の彼女は顔色もよく、至って健康に見えた。

では、何故?
その理由は?

考えても考えても、エレノアが突然辞職してしまったもっともらしい訳が思い浮かばない。
だが、エレノアが辞職してしまった理由よりも、俺の頭の中は、エレノアを案ずる気持ちでいっぱいだった。

エレノアは今日、まだ一度も俺の血を飲んでいない。
今の彼女は1日に何度も血を飲まなければ、血を求める本能に抗えない。
その本能を彼女は今、どこかで耐えているのか。

気がつけば俺はその場から飛び出し、街を駆け巡り、エレノアの姿を探し始めていた。
あんなにも美しい人、どこにいても一目で見つけられる。
しかし、俺は彼女の姿を見つけられなかった。

それからエレノアを探す日々が始まった。
仕事の合間を縫い、自分の持てる力全てで彼女の痕跡を探す。



< 67 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop