だからアナタに殺されたい。


まずはエレノアの家を見に行った。
だが、そこにはまるで人がいる気配がなかった。
ならばと、次はエレノアについての情報を徹底的に集めることにした。
…が、彼女に関する情報は綺麗さっぱりなく、まるでもうこの街にはいないかのようだった。

エレノアが俺の目の前から消えた。
そんなはず…、そんなはずはない。

彼女は俺から離れられない。
そうだったはずだ。そう仕向けたはずだ。

ああ、彼女は今も俺の見えないところで苦しんでいるのか。

消えた彼女へと募る仄暗い感情と、彼女の安否を憂う感情と、会えない苦しみから、どんどん心がぐちゃぐちゃになっていく。
エレノアがいないだけで、今にも壊れてしまいそうなほど脆くなる。

少なくとも俺には、彼女が必要で、離れられない。
消えたエレノアに、わかっていたが、そう痛感した。


帝国の聖女が忽然と姿を消して、1ヶ月。
エレノアのいない灰色の世界で、俺は今日もエレノアの姿を探していた。

仕事を終え、いつも通り暗い街を彷徨う。

エレノアの家の近くの市場で、エレノアが買い物をしているかもしれない。
エレノアの家の近くの食堂で、エレノアが食事をしているかもしれない。
エレノアの家の近くの噴水場で、エレノアが星空を見上げているかもしれない。



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