社長令嬢の私が恋したのは、清掃員でした

4.レストランで感じた強い違和感

 レストランには、
 すでに三人が揃っていた。

 父・三条 勝。

 そして、向かいの席に座る上条直樹。

 その隣に、
 少し緊張した面持ちの友梨。

 場所は、老舗ホテルのロビー階。

 トゥールダルジャン。

 重厚な空間に、柔らかな照明。

 テーブルの上には、
 磨き上げられたグラスと、
 白いクロス。

 「……遅いな」

 勝が、腕時計を一瞥する。

 「清掃員の“彼氏”とやらは、
  時間も守れないのか、
  それとも、逃げだしたか」

 上条が、薄く笑う。

 友梨は何も言えず、
 指先をぎゅっと膝の上で握った。
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