「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
環奈たちは道後温泉の湯に浸かり、個室は頼まずに、大広間で寛いだ。
お菓子とお茶をいただいたあと、濡れ縁から外を眺める。
「いい感じですね~」
環奈はいそいそと買った可愛い扇子を取り出し、ひとつ、滝本にも渡す。
「お貸ししますよ、お使いください。
あ、持って帰られて使ってもいいですよ。
そういえば、同じ家だし」
と環奈が笑うと、
「……ああ。
ありがとう」
と滝本は微妙な顔をする。
「あ、柄が可愛すぎるから嫌ですか?」
「そうじゃない」
と言いながら、その扇子で顔を仰いでいたが、いきなり、
「帰ろうか」
と言い出した。
ええっ?
と環奈は驚く。