「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「滝本さんとラブラブだそうじゃないか」
ひとりで隠れ家カフェに行った環奈は、西山にそんなことを言われた。
「……誰がそんなことを」
「この間、滝本さんが吉浦さんて友だちと話してた」
「ほんとうに調子良く話合わせてたんですね……」
なにもラブラブじゃないんですけど、と環奈は苦笑いする。
「吉浦さんが他の同期にペラペラしゃべったら、どうするつもりなんでしょうね」
「まあ、よく仲良くここにも来てるし、ラブラブなんじゃないか?」
と素っ気なく西山は言う。
「席離れてますけどね」
と環奈が笑ったとき、西山は黒い大きな皿を棚に戻しながら、自分で不思議そうに言った。
「機嫌悪いな、俺。
ほんとにお前に気があるとか?」
「いや、ほんとにもなにも、ないでしょう」
と環奈が言い切ると、
「まあ、そうだよな。
ちょっと悪くないとは思ってるが、ちょっとだから」
と西山は思ったままを言う。