「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「いつ行っても、私のお気に入りのタオルが洗濯機にあるんですよ。
なんか変じゃないですか?」
「別に変じゃないわよ。
単にタイミングが合わないだけなんじゃないの?
課長のことだから、気に入らないのなら、ゴミ箱に捨ててるわよ」
……いや、さすがにそこまでは、と麻沙子の言葉に環奈は固まる。
昼休み、今日は二人でランチに出ていた。
「そんなことより、私の推しのクリアファイルがもらえるキャンペーンやってるのよ。
六本買ったらもらえるから、このクリアファイルが残ってるところがあったら買って」
お金払うし、ドリンクはあげるから、と言われる。
「私、こういう栄養ドリンクっぽい飲み物、苦手なんですけど~」
麻沙子が見せてきたスマホの画面を見ながら言った環奈は、目の前に誰かが立ったのを感じた。
テラス席だったのだが、前の道を歩いていた人が足を止めたようだった。
顔を上げると、白いブカブカのトレーナーにパンツ姿の新浜が立っていた。
「あ、こんにちは。
新浜さん、こういう栄養ドリンク、好きですか?」
「飲まないけど。
……そんなの飲んで頑張らなきゃいけないほど、頑張らないし」
それは社会人としてどうなんですか、とは思ったが。
まあ、自分も栄養ドリンクは飲まないな、と思ったとき、新浜は、麻沙子と目が合ったようだった。
ぺこりと頭を下げていなくなる。
……そういえば、女性が苦手なんだったな。
なんで私とは話せるんだろうな……。