「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「私がこの家に寄付したタオル、いつも洗濯物の中にあって、かけてないんですけど。
 何故ですか?」

 ……寄付って言い方変だな、と思いながらも。

 このときはまだ、軽い調子で返事があるものと思っていた。

『莫迦か。
 たまたまだろ』
とか。

 だが、滝本は黙って、舞茸を見つめている。

 いや、舞茸に集中しているだけなのか?
と環奈が思ったとき、滝本が口を開いた。

「すまない。
 実は、あのタオルを見たくなくて、つい、ポイと洗濯機に入れてしまっていた」

 ――見たくなくてっ!?

 ただの可愛いピンクのタオルですよっ。

 何故なんですかっ!?

「……何故なのか、俺に訊くのか」

 あなたに訊かないなら、誰に訊くんですか……。

 滝本は環奈ではなく、カリッと揚がろうとしている舞茸を見つめて言う。

「お前のために、タオルかけておいてやりたいな、と思って、かけておくんだ。

 だが、そのタオルをお前が嬉しそうに買ってたときのこととか。

 道後温泉で二人で湯上がりに涼んでたときのこととか思い出して、嫌になって、洗濯機に入れてしまうんだ」

「……持って帰りましょうか、もう」
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