「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」



 きゃっきゃと楽しそうな環奈たちを見ながら、聖一は思っていた。

 こういう顔を俺の前では見せてくれなかったんだよな。

 二人でいるときは、いつも難しい顔してたしなあ。

 滝本さんといるときは――

 ……難しい顔してるな。

 なんか叱られてるし。

「外で余計なことをペラペラしゃべるなっ」
と環奈は滝本に、職場にいるときのように叱られている。

 まあ、俺は環奈を叱るとかできなかったしな。

 特に叱る必要もないくらい接点もなかったし。

 でも――

 なんか好きだったんだが。

 この二人の間に割っては入れないかな、と聖一が思ったとき、いきなり奥から出てきた新浜が環奈に言った。

「滝本さんと楽しそうだね」

 いや、叱られてるんですけどっ?
という顔を環奈はしていたが、

 新浜の言いたいことはわかる。

 二人の間に遠慮がないように見えるからだ。
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