「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
帰り道、滝本が、
「今日はあの映画の2を観よう」
と言い出した。
「えーっ?
やかましいからお嫌いなんじゃなかったんですか?」
「……シリーズものの映画や延々と続く海外ドラマは歯を食いしばって観てこそわかるなにかがあるんだ」
――それはなんなんですかねっ!?
「しかし、聖一は知れば知るほどいい男だな。
まあ、猫に選ばれし者だからな」
「そういえば、課長は猫に逃げられてましたね」
と環奈は心のままにしゃべって睨まれる。
すみません。
お酒のせいです、と心の中で弁解していると、滝本に問われる。
「ほんとうに、なんで、聖一との話、断ったんだ。
別の女がいそうでも。
お前の方が先に許嫁になってたんだし。
強く押して出てもよかったんじゃないか?」
あれほどの男、もったいないじゃないか、と言われ、
じゃあ、私の代わりに課長が、聖一さんの許嫁に名乗り出たらいいじゃないですか、
と思ってしまう。
「だって、私なんて押し付けられて可哀想だなと思ってたんです」
「聖一はお前のことを――
好き、まで行っているかはわからないが。
気に入ってはいたと思うぞ。
俺は最初にしゃべったとき、気がついたが、お前はずっと側にいたのに気づかなかったんだな」
「そんなこと言われても、信じられませんよ」
と環奈は笑う。