「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「おとついで今日別れるとか。
昼にはじまって、夜には別れるとか。
そんな感じに軽く愛を語っていいんですかね?」
私がクソ真面目に考えすぎだとか?
と滝本の家のダイニングテーブルで環奈は呟く。
愛とはもっと慎重に考えなければならないものだと思っていたのだが――。
暖めただけの冷凍のシチューを食べながら滝本が言う。
「いや、愛は重くていい。
だって、結婚して、一生共に暮らすわけだから」
この人、私と一緒だな、と環奈は思った。
好きになって付き合うなら、一生。
でも、そんな相手が見つかりそうにないと思ったから、二人とも、今、こうしてここにいて。
(仮)偽装夫婦として、向かい合ってご飯を食べてるわけなのだが――。
「冷凍のも最近のは美味しいですけど。
やっぱり、隠れ家カフェのが食べたいですね」
「散財しすぎじゃないか? 俺たちは」
「あんな美味しいお店が近所に存在しているのが悪いんですよ。
それも毎回違うメニューがあって飽きないし」
「じゃあ、ちょっぴり節約して。
酒とつまみだけ味わいに行くとか」
ぼそりと滝本が言い、
「いいですねえ。
今からどうですか?」
と環奈は笑った。