「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
 


「へー。
 店長と新浜さんは大学の同級生なの」

 たまに見かける男の人がカウンターの隅で、西山とそんな話をしていた。

 今日は混んでいるので、環奈と滝本は並んで座っている。

 ……課長が近い。

 ちょっと緊張するな。

 同じ家で暮らしている日もあるのに、席が近いだけで緊張するとか変だけど、と思ったとき、西山が言った。

「そう出席番号が近くて、名前が――」

 いらっしゃいませ、と西山が開いた扉の方を見た。

 だが、新しく来た客が座れる場所がない。

「店内いっぱいだな。
 ……滝本さん、こっち」
と滝本に呼びかける。

 は? という顔をする滝本を西山は手招きし、厨房側に入らせて、丸椅子に座らせた。

「いや、なんでっ」

「カウンターのこっち側空いてるから」

「にしてもおかしくないかっ?」
と二人は揉めている。

 忙しいので、一瞬、料理ののった皿を持って新浜が現れたが、新規の客を見て引っ込んでいった。

 ……ほんとうに、この人ひとりでは仕事できないな、と思う。
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