「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
 新浜が引っ込んだ奥を見ながら、西山が、

「まあ、あいつが外で客にあって、頭下げただけでビックリするから」
と呟いていた。

「そういえば、最近もう、あちこちにノボリが立ってたり、パンフレットが置いてあったりするんですけど。

 この店、おせちとかやってないんですか?」

 環奈がそう問うと、
「おせち?
 そんな大変なものはやらないぞ」
と西山は言う。

「その代わり、年越しのときも店開いてるが――」

「そうなんですね。
 嬉しいけど、大変そうですね」

「そうだなあ。
 でもまあ、実家には年が明けてからしか帰らないし」

 西山は上を向いて考えていたが、
「そういえば、会社なら特別手当が出るよな。

 よし。
 年末年始は金額を釣り上げていくか」
と言い出す。

 ……余計なことを言ってしまったようだ。

「除夜の鐘が近づくと、だんだん値段が上がっていくとか」

 どんな店ですか。
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