「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
 駅の近くの牛丼屋に入り、
「こういうとこ、あまり来ないので新鮮です。
 あ、カフェオレとかある」
とタブレットを見ながら呟いて、

「……牛丼屋にカフェオレはない設定なのか、お前の中では」
と言われてしまう。

 いや、なんかこう、牛丼屋さんは急いでるときとか、ものすごく牛丼が食べたいときに入って、ガーッと食べるイメージなので。

 カフェでゆったり飲む雰囲気のカフェオレとかはないのかなと思ってたんですよね。

「なににする?」

「えーと、つゆだくの普通の牛丼……」
とタブレットを眺めていると、滝本が、

「そういえば、つゆだくってあったな」
と言う。

 家で作る親子丼はつゆだくなのにな、と思いながら、
「課長は普段は?」
と訊いてみる。

「俺は牛丼には生卵が最高だと母にしつけられたので。
 だが、まあ、今日はお前に合わせて、つゆだくにしてみよう」
と言う。

「お前はそれとカフェオレか」

「あ、ビールで」

 滝本が、!? という顔をする。

 さっきのトークはなんだったんだ、と思っているのだろう。

 だが、環奈は強い意志を持って言った。

「ビールで」
 


< 232 / 328 >

この作品をシェア

pagetop