「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「花守環奈です。
 はじめまして」

 よろしくお願いいたします、と深々頭を下げた。

 課長のお母様ですね。

 お正月におめかしって。

 これ以上、なにをどうおめかしするつもりだったのですか。

 レッドカーペットを歩いてくる感じの?
と頭を下げたまま思っていた。

「そう。
 美麗(みれい)です。

 美しいに麗しいと書いて、美麗よ」

 滝本そっくりな顔で、美麗はそう言う。

 ……名前に『美』が入っている人は、『美しいの美』と言うのが恥ずかしいので、美術の美と言ったりすると聞いたけど。

 この人、今、『麗しい』まで平気で言いましたよ。

 さすがなんか一味違う、と思いながら、神々しい感じのする美麗を見上げていた。

 いや、環奈の方がかなり大きいのだが、美麗が玄関の階段の一番上に立っているからだ。

「あの、なんで私が課長の結婚相手(?)だって、わかったんですか?」

「だって、そんなエコバッグに牛乳っぽいもの入れて帰ってくればね。
 あなたが牛乳屋じゃない限り」

 エコバッグに牛乳一本入れて売りに来るとか、どんな牛乳屋だ。
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