「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「か、環奈……

 ……さん」

 なにが、『さん』だ、と言っておいて、自分で思う。

「かん……

 花守?」

 結局、そう呼んでしまったが、返事はない。

「起きてるのか?」
 そう声をかけたが、やはり返事はない。

 扉に耳を当て、耳を澄ますと、すーっと寝息が聞こえてきた。

 さっきのは寝言!

 怖い!

 ちゃんと相槌のように入ってきたのにっ。

 そのとき、
「えい!」
という声が環奈の部屋から聞こえてきた。

 ……やはり、起きていて、なにかと闘っているのだろうか?

 ゴキブリや蜘蛛だったら、力になれるかもしれない。

 そう思いながら、
「花守、大丈夫か?
 入るぞ」
と言って、そっとドアを開ける。

 しどけない格好で寝ていたりしたら申し訳ないな、と思いながら、ちょっとドキドキしていたが。

 環奈は寝たまま、手を突き上げていた。

「えい! えい! えい!」

 ……何処もしどけなくない。
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