「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「私、(きん)を持っているので」
「金?」

「子どもの頃から大事に隠し持ってたんですけど、課長になら差し上げてもいいです。
 このご時世値上がりしているかもしれないので」

 いや、それ、どうせ、砂金採りのやつとかだろ、と笑われると思ったのだが、滝本は赤くなり、

「……ありがとう。
 だが、まあ、自分で大事に持っておけ」
と言った。

 なんで課長照れるんですか、と思っていたが。

 滝本が反応したのは、
『課長になら差し上げてもいいです』のところだった。

 そこで、どさり、と鞄を落とした者がいた。

 今来たらしい聖一だった。

「……そんな、俺が見せてももらえなかった砂金を滝本さんにっ」

 衝撃を受ける聖一の足元にチャトラの猫が現れ、すりすりしていた。

「あっ、私の膝に乗る予定の猫っ」
と環奈が妄想を語ると、聖一は、ひょいと猫を抱き上げ、

「これをあげるから、もう一度俺の許嫁になってくれ。
 俺の愛のしるしだ」
と言う。

「……それ、よそんちの猫ですよ、たぶん」

 今日はクリスマスだからか、チャトラの猫は、いつもはつけていない金の鈴のついた赤いリボンをつけていた。

 猫は抱き上げられたせいか、とりあえず、ごろごろ喉を鳴らしている。





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