「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「最初は偽装結婚だと思って一緒にいるのでもいい。
 五十年経ったら、それは、もう偽装じゃないから」

 笑ってしまった。

「仲良いね~、お二人さん。
 喧嘩とかしないの?」

 テーブル席から中谷がそう訊いてくる。

「喧嘩は別にないですが」
「……こいつ、俺のこと嫌いなのかなと思うことはありますね」

 環奈と滝本がそれぞれそう言い、えっ? と環奈は滝本を振り向いた。

「そんなことないですよ。
 なんでですか?」

「この間、お前、うちに来た成田たちと話してて。
 俺は挨拶したあと、奥に引っ込んだんだが。

 廊下に出てもお前たちの会話は聞こえてたんだ。
 なんか俺の話をしてて。

 そしたら、突然、お前が、
『大体、底が浅いんですよ』
とか言い出して」

 息が止まった、と滝本は言う。
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