「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「あけましておめでとうございます。
 おやすみなさい、かちょ……

 あ、暁月さん」

 一歩、こちらに近づいた滝本が額にキスしてくる。

「……おやすみ」
と耳元で囁かれた。

 ではっ、と照れながら、部屋に入ろうとしたが、ガッと腕をつかまれる。

「なんでそこで部屋に入るんだ」
「え?」

「いや、お前の部屋でもいいんだが。
 今、さっさと寝ようとしただろう」

 記念すべき、二人での初めての年越しだぞっ、と怒られる。

「えっ?
 でも、さっき、明日は早く起きろと――」

「そうだ。
 早く起きろ。

 だから、早く来いっ」

「えっ?
 私、明日、着物なんですけどっ。

 課長のご親族にも初めてお会いするわけですしっ。
 粗相のないよう、たっぷり寝て、体力を――っ」

「大丈夫だ。
 うちの一族で、うちの母以上に恐ろしい奴はいない。

 お前はすでに最難関を突破しているおめでとうっ!」
と言う滝本にそのまま引きずっていかれた。

 除夜の鐘はよく冷えた年明けの空に、まだ鳴り響いているようだった。
 



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