婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
約束を守って大切にしてくれる優しさが嬉しい一方で、胸が小さく軋む。


「……私の方こそ素敵な指輪を選んでくれてありがとう」
 
無理やり口角を上げて礼を伝える。

こんな状態でこれから先の結婚生活をバレずに続けていけるのか思いやられる。
 
この恋が実るなんて思わないから、せめて密かに想うくらいは許してほしい。

いつか長い時間が過ぎて、今よりももっと信頼関係や距離が近づけたら、想いを伝えるだけでもできたらいいのに。
 
決して叶わない願い事に胸を焦がす。


「できあがったら、俺につけさせて」
 

左手の薬指にそっと長い指で触れられて心拍数が上がっていく。
 
ふたり分の指輪代金を当然のように支払おうとする彼に、お互いが身につけるものなのだから琉生さんの分を贈らせてほしいと頼んだ。

すると、最初は聞き入れてくれなかったが少し考え込んで、渋々納得してくれて胸を撫で下ろす。

さすがになにもかも甘えっぱなし、贈られっぱなしは気が引ける。
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