婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
最近琉生さんは広報業務が忙しくなっているという。

詳しく尋ねてみてもいつもどおりの業務だと返されて、それ以上踏み込めない。

パイロットの業務は私が聞きかじっただけでも、訓練や試験も含め学習する内容が非常に多い。

自宅で普段からよく勉強に取り組んでいる彼だけど、以前とは違い、難しい表情を浮かべるときが増えた気がする。

さすがに今の琉生さんにこれ以上心労や迷惑をかけるのは憚れて、瑛斗の件はもう少し落ち着いたら話すつもりでいる。

今日の私はカウンター業務担当だった。

後輩に指示を出していた際、一時間ほど前に到着した便に搭乗していた男女の乗客ふたりからバゲージ破損の申告を受けた。

破損していたのは女性のバゲージだった。
 
バゲージの預かりは十分慎重に行っているが、返却時車輪などの破損が起こってしまうときがある。

ふたりは空港を出ようとしたところ、いつもと違う車輪の動きから破損に気付き、戻ってきたそうだ。

破損を丁寧に謝罪し、状態を確認する。

四つある車輪のひとつが免責事項に該当しない破損となっていた。

各航空会社によって対応は多少異なるだろうが、うちではまずお預かり時に謝罪と確認をさせていたただき、修理に必要な書類を作成し、一旦バゲージを自宅にお持ち帰りいただく。

その後、中身を取り出し、空になったバゲージをお客様から宅配便等で当社専用指定修理先へ送っていただいている。
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