婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
少し前には、話題になっているかき氷屋さんをふたりで巡ってみた。

意外にも甘い物が好きな琉生さんは、私以上にメニュー選びに真剣だった。

いくつも一度に食べられないし、テイクアウトもできないからと迷う姿が普段と違って新鮮で、思わず頬が緩み、こっそり写真を撮ってしまったくらいだ。

ほかにも映画などにも出かけ、穏やかな日常を過ごしている。

秋になったら紅葉を見に少し遠出しようと話をしている。

好きな食べ物、好きな映画、景色、知らない出来事をひとつひとつ知るたびにさらに琉生さんを好きになる。

こんな毎日がいつまでも続けばいいと何度も願った。


九月に入ったが、相変わらず気温は高い。

先日母がひかりさんと電話したところ、開口一番私の結婚について言われたらしい。

祝福はされたが、偽装結婚ではないか再三確認されたという。

一応ひかりさんは渋々納得した様子で遺産分割協議書の作成が前に進み始めたという。

瑛斗からは時折【お前は騙されている、そのうち証拠を掴んでやる】といった物騒なメッセージが届くようになっていた。

ひどい誤解にため息が漏れるが、下手にブロックしたり反応して刺激しないほうがいいと思って放置している。
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