婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
センターテーブルに紙袋を置いた彼が、小さな紙袋の中から赤い小箱を取り出す。

そして蓋を開けて中を見せてくれた。
 
ふたつの光り輝く指輪が並んで台座の中に収まっていた。


「……きれい」


眩しいきらめきに思わず声が漏れた私を見て、彼が嬉しそうに目を細める。

それから長い指でひとつの指輪をつまみ上げた。


「蕗、左手を出して」
 

艶やかな笑みを浮かべる彼と指輪を交互に見つめた後、うなずいて一度だけ握りしめた左手をゆっくり開く。

すると大きな彼の手のひらが私の左手を包み込み、もう片方の手で左手の薬指に輝く指輪をはめてくれた。

冷たい金属の感触と重みに、胸が甘く切なく締めつけられる。


「ありがとう、琉生さん」


「よく似合っている……俺にもつけてくれるか?」


嬉しそうに相好を崩す琉生さんの左手薬指に今度は私が指輪をはめる。


「ありがとう、蕗。これからもよろしく」
 

そう言った彼は私の左手を取って、口元に運び、指先に口づける。

甘さの中に妖艶さのまじる仕草と視線に胸が詰まった。


「私の方こそ、よろしくお願いします」


「やっとお揃いの指輪をつけられて嬉しい」
 

私の指に触れたままでふわりと微笑む姿に鼓動がひとつ大きな音を立てた。
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