婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
状況も立場もまったく違うけれど、ずっと胸を塞いでいた憂いの答えが見つかり、目の前が明るく染まる。
 
手にしていた文庫をぼんやりしながら買って、店を出た。

なにかに背中を押されるように商業施設を出て駅を目指した。

やってきた電車に乗って、自宅を目指す。
 

私は、なにを迷って悩んでいたんだろう。
 

最初からずっと答えは出ていたのに、人からの評価や視線、自信のなさを言い訳にして逃げていただけだった。

琉生さんはあんなにも真摯に私に向き合ってくれていたのに。
 

高鳴る鼓動と胸の中からせり上がってくる熱い想いを、拳を握りしめて必死に落ち着ける。

彼が無事に到着したら、想いを全部伝えたい。
 
明日、幸いにも私は休みだった。

彼の帰りを自宅で待つつもりだったが、昨日気づいた感情が胸の中でさらに大きく育っていたせいか早朝に目が覚めてしまった。
 
二度寝もできそうになく、そのままの勢いで起き上がり彼を迎えに行こうと決めた。
 
海外フライトは時差もあるし疲れているだろうが、早く会いたい気持ちが募り、家を出た。

午前七時半すぎに空港内に足を踏み入れ、彼が到着する予定の第三ターミナルへと足を進める。

勤務時でもないし、まだ到着まではずいぶん時間がある。

彼のすぐ近くまで行けるはずはないけれど、できるだけ近づきたかった。
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