婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
「お疲れ様、動揺せず良くがんばってくれた」


「いいえ……筧キャプテンの冷静な対応のおかげです。大野キャプテン……どうかご無事で早く回復していただきたいです」


「……そうだな」
 

それから、筧キャプテンとフライトに関して少々話した後、降機して事後報告を行った。

詳細については後日聞き取りがあり、国への報告があると言われた。

筧キャプテンは責任者として後から病院を訪れるようだったが、空港内の混乱もあるので、俺は今日のところは帰宅するよう指示された。

すでに大野キャプテンは病院に到着している頃だろうか。

ご家族がすでに病院へ向かわれているそうで、容体については連絡をいただけるようお願いした。
 
ほかの運航に遅延などが発生しているのは大変申し訳ないが、人命には変えられない。

今はただ、キャプテンの無事を心から祈っている。
 
着替えを済ませスマートフォンを確認したところ、少し前に蕗からメッセージが届いていた。

一連の出来事を知っていて空港内にいるという内容を読み、急いで電話をかけた。


「蕗、今どこに……」
 

話したい事柄、伝えたい想いが着陸した安心からか今になってあふれ、上手く言葉を紡げない。

蕗から場所を聞いてすぐに向かう。
 
朝もまだ早めの時間帯のせいか、空港内よりは人気の少ないバスターミナルの片隅に佇む彼女を見つけた途端、想いがこみ上げ、思わず腕を伸ばして抱きしめる。
 

愛している、それ以上の言葉が見つからないまま、愛しい人の温もりをただ求めた。
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