婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする

エピローグ

「――では、こちらのお席に変更いたしますね」
 

今日も私は羽田空港でカウンター業務に従事している。
 
あの緊急着陸のあった日から早いもので一カ月近くが経った。

十一月中旬を過ぎ、日に日に気温が下がり本格的な冬の始まりを感じている。
 
大野キャプテンは急性虫垂炎だったらしい。

お腹の張りといった初期症状に近いものがあったらしいが、そのときに痛みはなくまさか虫垂炎とは考えもしなかったそうだ。

搬送されたときには炎症が進行していたといい、様々な検査を行い外科的治療を行ったという。

命に別状がないと琉生さんから聞いたとき、とても安心した。

キャプテンは入院し、すでに退院されているが、しばらく自宅療養されていたらしい。

先日、改めて礼と謝罪を言われたそうだ。

大野キャプテンは体調を第一に少しずつ復帰し、今は地上勤務をされているという。


「あれ、これって……先ほどのお客様のおもちゃじゃない?」


カウンターの案内冊子の棚の裏側に置かれていた小さなパズルが入ったケースを見つける。

慌てて周囲を見回せば少し離れた場所に持ち主のご家族の姿が見えた。
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