婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
今後、来店してもらえなくなったらどうしよう。


それだけではない。

今、来店中のほかのお客様たちが不安を抱いたり、不愉快な思いをされている可能性もある。


「お母さん……ごめんなさい、私」


カフェ内に戻って母に謝り、今しがたの一件を手短に伝えた。


「――さすが向くん、対応に慣れているわねえ。私のほうこそ伝えておかなくて悪かったわ。あの子たちは以前から数回来店していてね、いつもキョロキョロしてなにかを気にしているみたいだったの」


彼女たちは過去、向さんが帰るタイミングでやってきてその際にずいぶん興奮して、母に彼について事細かく質問してきたらしい。

もちろん母はなにも教えず、警戒していたそうだ。

彼女たちの来店頻度は半月に一度程度で、三日ほど前に来店したばかりだったので油断していたと母がこぼす。


「元々彼女たちの撮影を阻止しようと思って動いたんだけど、ごめんなさい。手伝いに来たはずなのに、向さんやお母さん、お店に迷惑をかけてしまって。ほかのお客様も……」


「蕗の判断と行動は正しかったし、常連さんたちやほかのお客様だってきちんとわかってくださっているから店は大丈夫。あの状況では最善の方法だったわよ」


項垂れる私を安心させるかのように母が優しく告げる。
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