婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
『僕は飛行機も好きだけど、不動産というか建築物が一番好きなんだよ。今、うちは不動産業務が主だけど、いずれ設計を含めた建築業務を多く請け負えるようになりたいんだ。僕はその分野を学びたい』


キラキラと目を輝かせて話す弟の目は、嘘をついているように見えなかった。


『本当、兄貴は変なところで不器用だよな。責任感が強いのはいいところだけど、もっと自分の考えや感情を素直に口にすればいいのに』


どうせずっと僕に会社を押しつけたとか悩んでいたんだろ、と呆れたように笑う姿になんとも言えない温かな気持ちが広がった。

迷いを吹っ切ったそれからの俺は、いずれは機長になりたいと努力する日々を続けながら、彼女を捜していた。

大阪を訪れるたびに土手に足も運び、まさかと思いながらも大阪国際空港内の土産屋を訪れていた。


だから今日、蕗の鍵についていたキーホルダーを見て驚いた。


『三年くらい前に大阪国際空港で購入したんです。お店の方に限定品だって聞いて妹へのお土産も兼ねてふたつ購入したんですけど、ひとつはなくしてしまって』


蕗の説明を聞いて鼓動が自然と速まっていく。

三年前の彼女の名前は知らない。

そもそもマスクと大きな眼鏡、経過した時間のせいもあり面立ちははっきりわからない。

蕗に似ていると言われればそうだけど、確証はない。

だけど俺の心はなぜか彼女だと告げていた。

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