婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
「ごめんなさ……ごめんね」


「謝らなくていい。起きているのがつらくないなら、食べながら今日の予定を話そう」


体調を再度確認された後、促されダイニングに向かう。

テーブルの上にはサンドイッチとコーヒー、サラダが置いてあった。

近くにある彼のお気に入りのベーカリーで購入してきてくれたらしい。

無理せずに、と告げる気遣いが温かくて嬉しい。

幼い頃に少し遊んだだけの、ほぼ初対面に等しい同僚の私を大切に扱ってくれるこの人は本当に思いやり深いと思う。

私が湯気を立てているコーヒーを飲み、サンドイッチに舌鼓を打ち、人心地ついたところを見計らって彼が口火を切った。


「昨日話したとおり、これからオーナーに俺たちの結婚のご挨拶をする。それから改めてお祖母様の遺言について詳細を伺って、カフェが存続できるよう手続きを進めよう。できるだけ早く婚姻届を提出しよう」


「母に証人欄に記入してもらって、それから琉生さんのご両親にご挨拶に伺いましょうか?」


「そうだな。邪魔されたくないし、婚姻届を提出してから続さんたちに報告しよう」


先ほどまでの柔らかな表情から一転して眉根を寄せる彼に、急いで言葉を紡ぐ。
< 82 / 175 >

この作品をシェア

pagetop