婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
でも、もし事実だったら?


結婚するのだから信用を損なう真似はしないと約束したけれど、心の中で彼が誰かを想っていてもわからないし咎められない。

私たちの間に恋愛感情は存在しないし、そもそも彼についてまだ、ほとんど知らない。

私たちは割り切った、お互いの利益を守るためのパートナーというだけだ。

わかっているのに、どうしてこんなに心がざわざわ波打って、気になるのだろう。

いくら考えても答えはでず、しばらくその場に立ち尽くしていた。

それから長い時間が過ぎ、勤務を終えた琉生さんが帰宅した。


「お帰りなさい」


「ただいま。先に休んでいてよかったのに。早朝勤務で疲れただろ」


玄関先で出迎えた私を見て、琉生さんが驚いたように声を漏らす。


「もう少ししたら休むつもりです。ちょっと片付けをしていて」


本当は瑛斗との会話が気になって眠れなかったのだけど、正直に言えそうになかった。


「片付けなら俺がする……蕗、なにかあったのか?」


心を見透かすような視線を向けられ、鼓動が大きな音を立てた。


「いえ、明日は何時頃に区役所に行く予定かなと考えていただけで……」


「なにかあったなら正直に話してほしい。これからずっと一緒にいるんだ。心配事や気がかりはできるだけ取り払いたい」


真剣な口調と真っ直ぐな眼差しが私の心を射貫く。
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