君がくれた涙は、さよならのために
「…あれ?あの子は行かないのかな。えっと名前…」


真彩ちゃんと後ろから教室を出ようとしたところで、廊下側の一番前の席で帰る支度をしている女子生徒が一人残っていることに気づく。

腰まであるサラサラの黒髪は同系色のカチューシャとよく似合っていて、猫のような切れ長の瞳に長いまつ毛、陶器のように透き通る肌にはニキビなんて一つもなくて、まるでどこかのモデルのような女の子だった。

まだクラス全員の名前を覚えられていないけど、たしか名前は…。


桜庭(さくらば)さんは、多分来ないと思うな」

「そうだ、桜庭さん!桜庭澄玲(すみれ)ちゃん。…って、え?来ないって、なんで?」

「桜庭さんは有名企業、桜庭ホールディングス社長のご令嬢なの。そんなすごい子がこの学校に通ってる理由はよくわからないんだけど、行事ごととかは面倒くさがっていつも参加しないから、きっと今回も不参加だと思うな。先生たちも桜庭さんに特に何も言わないし、わがままが許される存在なんだよ」


桜庭ホールディングスとか言われても全然ピンとこないけど、要はどっかのすごいお金持ちのお嬢様だということだろう。


「うーん、よくわかんないけど、お金持ちのお嬢様だからってどうして行事
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