君がくれた涙は、さよならのために
練習していた通りの明るい笑顔、明るい挨拶に、松本先生は少しだけ驚いたように目を丸くしていた。

まあ大体考えていることはわかる。

変な時期の転校生だからこそ、何かしら事情がありこんなに明るいとは思っていなかったのだろう。


「そう言ってくれてとても嬉しいわ。二年一組のみんなはとてもいい子たちだから、きっと瀬川さんならすぐに打ち解けられると思うな」

「はい!早くみんなに会いたいです」


私の明るい笑顔に、お母さんも安心したように先生の後ろでほっとしていた。

本当、みんなわかりやすいな。


「早速だけど、これから放課後のホームルームがあるの。みんなへの挨拶は明日の朝にできたらと本当は思っていたのだけど…早くみんなに会いたいようなら今から行くのはどうかしら?もちろん、瀬川さんがよかったらだけど」


え、と思わず漏れそうになった言葉を慌てて呑み込む。

丁寧な断り方を考えていると、先生の後ろでお母さんが両手を叩くとパッと笑顔になった。


「いいじゃない。凛々花も早くみんなと会いたいって言ってたし、早いうちから挨拶ができるなら嬉しいわよね?」


…ああ、終わった。

私が言えるセリフなんてもう一つしかないじゃないか。
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