君がいてくれて。

紅葉してきた今日この頃。

「なんか最近寒くなってきたよね。」
「ね。」
紘くんと樹くんが窓を開けて外を除くと冷たい風が病室の中に入ってきた。
この前まで青々とした葉っぱが沢山ついていた桜の木も気づけば赤や黄色の鮮やかな葉っぱをつけていた。
「もう寒い!紘!閉めて!」
「はいはい。ってか、樹が開けたんでしょ?」
あははっ...。
出会ってから約5ヶ月。2人はますます仲良くなっていって今では紘くんが病室に毎日会いに来るほど。
2人が楽しそうに笑顔で話しているのを見るのが私の毎日の楽しみでもある。
樹くんは治療が終わってからの体調は安定しているらしく悪化はしていないらしい。
「そういえば、私は今日定期検診があるから途中で少し抜けるね。」
「あ、りょーかいだよー!定期検診ってみんなバラバラの日程だよね〜。」
もう何度も検査を受けているはずなのに何歳になっても毎回緊張してしまう。
採血とかの痛さにはさすがに慣れてしまったけれど検査結果は聞きたく無くなるほど怖い。
「検査ってすごく怖いよね。」
「えっ?紘くんも...?」
いつも落ち着いていて大人っぽい紘くんがそういうのは自分の中で意外だった。
紘くんも怖いんだ...。
「もちろん。ってか採血とかも嫌だし。痛いの嫌いだな。」
「分かる!なんか採血する時の看護師さんって目が光ってる気がするよね。」
「あははっ。まあ僕達が痛くないように集中してくれているからね。」
樹くんも紘くんの言葉に同情するように頷いた。
実は検査がとても怖くて緊張していることを伝えると2人も検査は怖いし嫌いって笑いながら教えてくれた。
「検査が1ミリも怖くない人なんて絶対にいないから!嫌いって言う気持ちは当たり前だよ!!」
「そうそう。大人だって怖いんだから。子供の僕達が怖くないなんて逆に凄い話。別に嫌いでいいんだよ。」
そう言って紘くんは優しい笑顔を見せた。
「そっか...。そうだよねっ...!」
「うん!優花ちゃん!僕なんか去年まで採血で大泣きしてたんだからさ!それに比べたらね...!?」
「それって自慢することじゃなくないか?(笑)」
紘くんと樹くんが顔を見合わせて笑っているのを私がくすくす笑いながら見ていると2人が不思議そうに私の方を見た。
「どーしたの?」
「あ、えっと...なんか2人の話聞いてたら全然大丈夫のような気がしてきたのっ...。」
「ほんと!?優花ちゃんは凄いよ!」
「いや、2人のおかげだよっ。...じゃあ早めに検査行ってくるね。」
私は2人に笑顔を見せてベットから立ち上がった。
「うん!頑張って!待ってるから!」
「ありがとうっ...!行ってきます...!」

「失礼しますっ...。」
診察室の近くのソファーに座って待っていると看護師さんに呼ばれて部屋の中に入った。
「優花ちゃん!こんにちは!さっきぶりだね。」
「はいっ...!こんにちはっ...!」
星川先生は私に笑顔で挨拶をしてくださったあと
パソコンの方に目を戻す。
「今日はいつもと変わらない検査ですねっ。あとは看護師さん、お願いします。」
「はいっ。じゃあ、如月さん。検査室の方へ行きましょうか。」
「分かりましたっ...!」
「大丈夫ですよ。緊張しないでね。」
  ♡
全部の検査が終わって診察室に戻ると先生が笑顔で待っていてくれた。
「優花ちゃん、お疲れ様です。」
あれっ...?先生少し笑顔が引きつってる...?
「あ、ありがとうございます...。あの、何か悪い結果でしたか...?」
「えっと...一応、順番に話すね。」
もしかして...。
脳裏によぎったのはこれまで何度も想像してきた悪い結果。
「えっと、結果的に言うと少し悪くなってる。でも治療をしないといけないってことでは無いの。だけど最近少し活発に動き過ぎてたかな...。先生の判断がいけなかった。ごめんなさい。」
「あ、いやっ...そういう事だったら...。治療をするほど悪くなってないなら大丈夫ですっ...!体調も全然大丈夫ですし...!...もう少し安静にしておきますねっ。」
良かった...。
予想したような悪い結果ではなくとりあえず一安心。
「じゃあ、あとの結果はご両親の方へ伝えておくね。お疲れ様です。」
「はいっ。ありがとうございました。」
私は先生にお辞儀をして部屋を出たあと、すぐに病室への道を急ぎ足で戻る。
とりあえず、治療するほどでもなくて良かった...。
しばらくの間はちゃんと安静にしていようっ...。
樹くんと紘くんが待つ病室までの廊下を歩いている間私はそんな甘いことを1人、考えていた。
この1週間後に起こった最悪の事態を知らずに。
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