純情*ライアー
「……こんにちは。」
呼ばれたからには立ち止まって一応会釈する。
葛城くんを女子の中に1人残して、桐谷くんがこっちに来た。
「これから葵と待ち合わせだったんでしょ?
もう会っちゃってるし、一緒に行くの?」
笑顔が軽い。輝いている。
……幼馴染なら、流石に葛城くんの本性も知ってるのかしら?
「ううん。メイク直したいから別で行く。」
「へぇ、そうなんだ?
葵のことよろしくね!あと、俺とも仲良くしてね!」
あ。これは知ってるな。
そしてこの“仲良く”は、文字通りのやつだ。
同じ“仲良くして”でも、葛城くんと桐谷くん、どっちの発言かで意味が全く変わるな。
モテ男目指すならこっち方面にすればよかったのに。
甘えて擦り寄る女子に、チャラチャラ笑顔を振り撒いて頑張ってる葛城くんに憐れみの目を向ける。
縋る目がすでにこっちを見ていた。
……ま、今更キャラ変は無茶だし。
がんばろーね?葛城くん。
「うん、よろしくね。
葛城くんも。あとで、ね?」
これも練習。
頑張って女の子あしらってきなさいよ?
女の子に囲まれた葛城くんを素通りして、とりあえず待ち合わせ場所に向かった。