純情*ライアー


(まぁでも、そんな器用なタイプでもないか。)



目の前で誰かが困ってたら絶対放っておけなそう。


そっちの方が葵くんのイメージにぴったりだ。



「そんなことより、莉央。
この後の英語、単語の小テストがあるみたいだけど?」

「えっやば!もー、チャイム鳴るじゃん。
もっと早く言ってよぉ。」


バタバタと大慌てで走り去る音を聞きながら、テキストに並ぶ英単語を眺める。



罪作りな沼らせ男子。


そこは天然でできちゃうってわけね。




『いーの、俺が借りてるんだから。』



ほんの少し照れながら、当たり前のようにそう言って濡れてた葵くんを思い出す。


傘からぽたぽたと落ちてくる雨水が、少しも私に降り注がなかったなと思ったら、
ちょっとだけ水曜日が楽しみになった。
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