身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる
「あの、いかがなさいましたか?」
「……」
返ってくる言葉はなかった。だが、じっくりと天井や棚に並ぶ焼き菓子の数々を目に焼き付けているようにして眺めているのがわかる。もしかして、ここに来るのは今日で最後とか、かもしれない。そう考えると途端に胸の奥がぎゅっと締まって苦しくなった。
「ああ、ここのケーキ俺大好きですよ」
「!」
それはいつものようなもそもそとした声ではなく、はっきりとした声。それを近くで聞いた私の胸は大きく弾む。どうやらそれは父さんも同じだったようで、厨房に戻っていた彼は飛ぶようにして黒ずくめの人の前へと近づいた。
「ほ、本当ですか?!」
「はい。いつも美味しく頂いています。俺、ここのお店大好きです。だから……さっきみたいな変な人には負けないでください。応援してます」
「あ、ありがとうございます……! そう仰っていただけて、店主としても光栄です……!」
「いえ、じゃあこれで失礼します。また今度」
ぺこりと頭を下げる姿は、毎度見せる無愛想なそれとは違ってビジネスマンの如き丁寧なものだった。これまでとは様子が幾分違う姿に私は違和感を抱くも、すぐに嬉しさにかき消される。
こんなに丁寧なお辞儀も出来る人だったのか。なんだか意外である。
「はは、あの黒ずくめの人、優しい人だなあ」
「そうだね、お父さん」
「俺、この店頑張るから」
「……」
返ってくる言葉はなかった。だが、じっくりと天井や棚に並ぶ焼き菓子の数々を目に焼き付けているようにして眺めているのがわかる。もしかして、ここに来るのは今日で最後とか、かもしれない。そう考えると途端に胸の奥がぎゅっと締まって苦しくなった。
「ああ、ここのケーキ俺大好きですよ」
「!」
それはいつものようなもそもそとした声ではなく、はっきりとした声。それを近くで聞いた私の胸は大きく弾む。どうやらそれは父さんも同じだったようで、厨房に戻っていた彼は飛ぶようにして黒ずくめの人の前へと近づいた。
「ほ、本当ですか?!」
「はい。いつも美味しく頂いています。俺、ここのお店大好きです。だから……さっきみたいな変な人には負けないでください。応援してます」
「あ、ありがとうございます……! そう仰っていただけて、店主としても光栄です……!」
「いえ、じゃあこれで失礼します。また今度」
ぺこりと頭を下げる姿は、毎度見せる無愛想なそれとは違ってビジネスマンの如き丁寧なものだった。これまでとは様子が幾分違う姿に私は違和感を抱くも、すぐに嬉しさにかき消される。
こんなに丁寧なお辞儀も出来る人だったのか。なんだか意外である。
「はは、あの黒ずくめの人、優しい人だなあ」
「そうだね、お父さん」
「俺、この店頑張るから」