身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる
 これまで「あざっす」とか「美味しかったっす……」と言う具合の短い言葉はたまにかけられた記憶があるが、私を気遣うようなものは初めてだ。

「あ! えっと、その、なんかすみません! ご心配おかけしてしまって……」
「あっいえ。大丈夫っす」

 そのあと彼がぶつぶつ何かを口走ったような音は聞こえたものの、何を言ったかまでは分からなかった。

「? あの、何か……」
「いや、気にしないでください。えっとショコラトルテとカスタードのシュークリームとショートケーキ1つずつください」
「はい、かしこまりました。持ち帰り時間はどれくらいでしょうか?」
「10分で」

 慣れた手つきでスマホをリーダーにかざし支払いを行う黒ずくめの人は毎回シュークリームとケーキを買っている。特にチョコレート系のケーキとカスタードのシュークリームが好きなようで、時々ホールケーキを購入する時もある。
 不思議で無口な人物だが、嫌な感じは一切しない。

「お待たせいたしました。商品でございます」

 ケーキとシュークリームが詰まった白い箱を、彼が持っていた黒いショップバッグの中へと入れる。
 いつもなら彼は商品を受け取るとすぐに退散していくのだが、何か気になるのか足を止めて辺りを見回し始めた。一体何が気になるのだろう。
< 9 / 91 >

この作品をシェア

pagetop