身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる
 姉さんの身代わりに私がなれって言う事はよく理解できた。だが脳みそと理性がその事実を受け入れようとしているのを拒否している。結婚したくない私がこのような子ども目当ての契約結婚だなんて無理に決まっている。

「わ、私が身代わり?!」
「ほんとごめん! でも病気のある私に子供産むのは無理……! それに好きな人以外の子供だなんて……!」

 確かにそうだ。私だって好きな人以外の男と結婚して子供を産めと言われたら絶対に拒否する。それだけでない、姉さんが出産に耐えられないと言えば負担を負わせる気にはなれない。
 かといって結婚したい! とすんなり受け入れられる状態でもないのだ。

「詩織、父さんからもいいか? 詩織が美咲の代わりに話を受けてほしい」
「と、父さん……?」
「この通りだ!」

 勢いよくその場で土下座し、埃ひとつない綺麗な床へ額を擦り当てている父親の姿を見て、私の胸の奥がチクリと痛む。
 私がここで結婚すると言えば、もう流の傍若無人さに付き合わなくて済むし、シュクレも安泰だ。それはわかってはいるのに、踏ん切りがつかない。

「詩織! お願い、無茶なのはわかってるけど……! もうあの人にこれ以上お金むしり取られたくないし……!」
「姉さん……!」
「頼む詩織! こんな頼み事、親としては最低だとは重々理解している。だが、店の為にもどうか賛成してくれないか……!」


 
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