身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる
 ぼそりとした声に対し、父さんはえっあっと明らかに顔を赤らめ動揺しているのが見えた。

「ありがとうございます……翠家の方からそう仰っていただけて、とっても光栄です……」

 しおらしいとはまた別だけど、なんだか似たような姿を見せる父さんはとても珍しい。

「ここの店、改めて母さんから伺いました。とても素敵な店だと思いますし、隠れ家にいるみたいで落ち着きます」

 佑太さんにも落ち着きが感じられてとっても嬉しい。良かったら2階のイートインスペースでお茶でも……と問いかけてみると佑太さんの目に光が増した。

「じゃあケーキも食べたい」

 即答だ。だが時間的にお昼はもう食べたのか気になる。聞いてみた所、背負っている黒いリュックにお昼ご飯が入っているらしい。
 内容は出勤時にコンビニで購入したおにぎり2つとホイップとカスタードのWクリームが詰まったコッペパン、ゆでたまごとチキン南蛮が詰まった大きいサラダと教えてくれた。ちゃんと甘いものを購入している辺り、抜かりなさを感じる。

「持ち込みはダメだよな」
「いいですよ佑太さん。気になるようでしたら、バックヤードで食べます?」
「いいか?」
「もちろん。うちの関係者ですから」

 その時、店の扉が乱暴に開かれる音が聞こえた。ドアベルが落ちてしまう位の勢いと風が店内に伝ってくる。

「ちょっと! 詩織ちゃん、どういう事か説明してくれない?!」
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