身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる
◇ ◇ ◇
あれから1週間が経過した。私は佑太さんとの縁談に正式に合意し、契約上は夫婦となった。だけどこの話は公にはしないようにと口止めされている。翠家からすればあくまで私が子供を産むまでのつなぎと考えているようだ。
佑太さんはどのように考えているのかはっきりわからないけど、ひどい真似をするような人物ではないと信じたい。
佑太さんの自宅の内装を振り返ると、リビングが広い上に窓ガラスも液晶テレビも大きくて、まさに天上の人が住まうような場所だったと今も思う。しかも階段があるとかどれだけ広いんだと心の中で突っ込んだくらい。
階段を上った先には部屋がいくつかあったけど、あのいずれかに私専用の部屋を作ろうと言ってくれた。申し訳なさ過ぎて断ったけどそれくらいさせてくれと佑太さんに押し切られたのだった。おそらく今頃、女優が使うようなドレッサーなどが運び込まれている気がする。
佑太さんとは連絡先を交換して時間が許す限りメッセージのやり取りをしている状態だ。そういえば佑太さんのご両親……翠家への挨拶は行かなくていいのかと尋ねてみた所「今は大丈夫。追って連絡する」とだけしか帰ってこなかった。皆忙しいだろうし、邪魔するわけにもいかないのでこれ以上催促するのはやめた。
私は変わらずシュクレで接客と菓子作りの日々を送っている。手術日の関係もあり、佑太さんと同居が始まるのは明後日だ。父さんは忙しい中私が引っ越す準備を手伝ってくれて感謝しかないし、姉さんも見守ってくれている。
「ありがとうございました」
タルトケーキを2切れ買ってくれた小柄で茶髪ショートヘアの中年女性を見送る。時計は12時ちょうどを指していた。
「もうこんな時間かあ」
佑太さんは何をしているんだろう。なんて思っているとからからとドアベルが軽やかになる音がしたので、そちらへと視線が奪われる。
「え、佑太さん?」
目の前に立っているのは、白いフード付きのトップスと水色のスクラブパンツを着用した佑太さんだった。もさもさした髪はそのままだけど、黒いマスクと眼鏡は着用していない。
「詩織、急にごめん」
「あっいや……びっくりしちゃって」
「佑太さん! お世話になっております……!」
後ろの厨房から父さんが飛び出してきては深々と頭を下げる。佑太さんはそんなに気を使わなくても……と言うが父さんは頭を上げようとしない。
「大丈夫だよ父さん。取って食おうなんてしないから」
「あ……ですが」
「遼太郎さん。俺、ここのケーキほんとに好きなんで尊敬してます」
あれから1週間が経過した。私は佑太さんとの縁談に正式に合意し、契約上は夫婦となった。だけどこの話は公にはしないようにと口止めされている。翠家からすればあくまで私が子供を産むまでのつなぎと考えているようだ。
佑太さんはどのように考えているのかはっきりわからないけど、ひどい真似をするような人物ではないと信じたい。
佑太さんの自宅の内装を振り返ると、リビングが広い上に窓ガラスも液晶テレビも大きくて、まさに天上の人が住まうような場所だったと今も思う。しかも階段があるとかどれだけ広いんだと心の中で突っ込んだくらい。
階段を上った先には部屋がいくつかあったけど、あのいずれかに私専用の部屋を作ろうと言ってくれた。申し訳なさ過ぎて断ったけどそれくらいさせてくれと佑太さんに押し切られたのだった。おそらく今頃、女優が使うようなドレッサーなどが運び込まれている気がする。
佑太さんとは連絡先を交換して時間が許す限りメッセージのやり取りをしている状態だ。そういえば佑太さんのご両親……翠家への挨拶は行かなくていいのかと尋ねてみた所「今は大丈夫。追って連絡する」とだけしか帰ってこなかった。皆忙しいだろうし、邪魔するわけにもいかないのでこれ以上催促するのはやめた。
私は変わらずシュクレで接客と菓子作りの日々を送っている。手術日の関係もあり、佑太さんと同居が始まるのは明後日だ。父さんは忙しい中私が引っ越す準備を手伝ってくれて感謝しかないし、姉さんも見守ってくれている。
「ありがとうございました」
タルトケーキを2切れ買ってくれた小柄で茶髪ショートヘアの中年女性を見送る。時計は12時ちょうどを指していた。
「もうこんな時間かあ」
佑太さんは何をしているんだろう。なんて思っているとからからとドアベルが軽やかになる音がしたので、そちらへと視線が奪われる。
「え、佑太さん?」
目の前に立っているのは、白いフード付きのトップスと水色のスクラブパンツを着用した佑太さんだった。もさもさした髪はそのままだけど、黒いマスクと眼鏡は着用していない。
「詩織、急にごめん」
「あっいや……びっくりしちゃって」
「佑太さん! お世話になっております……!」
後ろの厨房から父さんが飛び出してきては深々と頭を下げる。佑太さんはそんなに気を使わなくても……と言うが父さんは頭を上げようとしない。
「大丈夫だよ父さん。取って食おうなんてしないから」
「あ……ですが」
「遼太郎さん。俺、ここのケーキほんとに好きなんで尊敬してます」