身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる
焼けるまではまあまあ時間がかかる。テレビのリモコンを手に取りボタンを押すと、どこも電車の脱線事故でもちきりだった。画面に映し出される事故現場は側面が文字通りぐしゃぐしゃになった新幹線と崩壊したビルの群、救助に駆けつけた人々や助けを求めている人達に乗客の家族らしき人やマスコミ、野次馬などがごった返していると言った具合。それらは上空から見ても横から……すなわち離れた箇所から見ても同じだった。
胸の奥から恐怖と似た感情がこみあげてきたので、耐え切れずにすぐにテレビのボタンを押す。多分、SNSもそんな感じかもしれない。一応スマホのサイドボタンを付けてみるが、佑太さんからの連絡はまだ来てなかった。
「メッセージだけでも入れておこう」
何も入れないよりかはマシだろう。『大丈夫?』の一言だけに留め、あとは画面を切ってオーブンへ目線を移しつつ、流しで手を綺麗に洗った。
「うまく焼けますように……」
そしてピピピッ! と焼きあがったのを知らせてくれる電子音が甲高く響き渡った。ミトンを履いて慎重にオーブンからマフィンを取り出すと、入道雲のようにふっかふかに膨れ上がったマフィンが姿を現す。
「わっ……! めっちゃいい感じじゃん……!」
これまで焼いてきたマフィンの中で1.2を争う程の出来栄えかもしれない。嬉しさの余り小躍りしてしまいそうになる。
キッチンカウンターの上にお皿ごとマフィンを置くと、改めてその出来栄えにうんうんと頷いてしまった。
「ふふっ……可愛いなあ……食べちゃうのがもったいないくらい」
佑太さん、喜んでくれるだろうか。きっと今頃壮絶な現場を戦い抜いているに違いない。
「私にはこれくらいしか、出来ないから……」
このタイミングで全身から力が抜け、急速に眠気が襲い掛かって来る。もしかしたら私も、気を張り詰め過ぎていたのかもしれない。
ゆっくりと膝を降ろすと、そのまま重力に身を投げ出したのだった。
胸の奥から恐怖と似た感情がこみあげてきたので、耐え切れずにすぐにテレビのボタンを押す。多分、SNSもそんな感じかもしれない。一応スマホのサイドボタンを付けてみるが、佑太さんからの連絡はまだ来てなかった。
「メッセージだけでも入れておこう」
何も入れないよりかはマシだろう。『大丈夫?』の一言だけに留め、あとは画面を切ってオーブンへ目線を移しつつ、流しで手を綺麗に洗った。
「うまく焼けますように……」
そしてピピピッ! と焼きあがったのを知らせてくれる電子音が甲高く響き渡った。ミトンを履いて慎重にオーブンからマフィンを取り出すと、入道雲のようにふっかふかに膨れ上がったマフィンが姿を現す。
「わっ……! めっちゃいい感じじゃん……!」
これまで焼いてきたマフィンの中で1.2を争う程の出来栄えかもしれない。嬉しさの余り小躍りしてしまいそうになる。
キッチンカウンターの上にお皿ごとマフィンを置くと、改めてその出来栄えにうんうんと頷いてしまった。
「ふふっ……可愛いなあ……食べちゃうのがもったいないくらい」
佑太さん、喜んでくれるだろうか。きっと今頃壮絶な現場を戦い抜いているに違いない。
「私にはこれくらいしか、出来ないから……」
このタイミングで全身から力が抜け、急速に眠気が襲い掛かって来る。もしかしたら私も、気を張り詰め過ぎていたのかもしれない。
ゆっくりと膝を降ろすと、そのまま重力に身を投げ出したのだった。