身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる
 佑太さんの説明をまとめてみる。
 警察に連行された流だったが、シュクレで起こした騒ぎはあまり大事にはならなかった。佑太さんと私の関係を広めないように口止めが翠家からなされていたのもあるけど、一番は流の両親の意向によるものだろう。
 
 流は私を諦めていなかった。とはいえ再び私の元へ現れたら、翠家の者に鉢合わせする危険性が高まる。そこで彼はある一手に及んだらしい。
 それが流の従姉妹で5歳ほど年下の・美水(みず)を佑太さんに近づけさせた。と同時に「翠家の御曹司に好きな人がいる」「某名家の令嬢」と匂わせるかのような噂を流し始めた……という訳だった。
 つまり先ほど来た若い女性は美水となる。

「なんで、美水さんを佑太さんの元へ?」
「これについては美水さんはただの縁談だと思っていたらしい」

 美水につき従っていた使用人の様子がおかしかった為、佑太さん自ら声を掛けた所、白状した……と教えてくれた。
 店に来た時には美水だけだったはず。おそらく物陰から彼女の様子を見守っていたのか。

「どうやって声を掛けたの?」
「こそこそ怪しいから直球に何しに来たんだ? とな。才川の苗字を聞いて警戒せずになんて無理な話だ」
「まあ、そうだよね……」
「使用人曰く、これは美水の気持ちを無視した縁談で、詩織を罠にはめるものでもあるとは言っていた」

 あと少しの所で私は流にはめられてたって訳か、とんでもない。
 ここで私の脳内に、美水の顔が浮かび上がった。

「確かに、なんか顔がこわばっていたような……」
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