身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる
 ちらりと左隣にいる佑太さんの顔を見る。

「はい、ぜひ発表なさってはいかがでしょうか、お祖父様」
「わかった。詩織さんはどうだ?」

 佑太さんが望むなら断る理由はない。賛成の意志を示すと、和三さんはくっくっく……と含みのある笑いを浮かべ始める。

「それにしても佑太には一本取られたのぅ」

 どういう事だ? 肝心の彼はというとふふっと笑っているだけ。

「え? えっ……?」
「佑太。お前がずっと前から詩織さんが好きだとは聞いていた。だが俺は結婚するなら長女と決めている。それは子供を産み血をつなぐのと併せて翠家のしきたりでもあるからのぅ」
「佑太さん、どういう事?」
「この縁談。実は最初から君に決めたものだったんだよ」

 姉さんではなく、最初から私を……?

「美咲さんが幸人を好きというのはかねてから知っていた。縁談を持ち掛けた時にちょっとした取引をしてな」
「え。ええ?!」

 2人であれこれ話を交わしていたなんて知る由もない。厳粛な空気をぶった切るかのように大きな声を出してしまう。

「ちょ、え、え?!」
「お祖父様は長女しかだめという。で、君は妹だろ? で、そこを利用したんだ。美咲さんと幸人の仲を取り持ちシュクレの支援により力を注ぐのと引き換えに、詩織に身代わりをしてほしいと頼んでほしいとな」
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