ながされて、絆されて、ふりむいて
「……花鈴は俺のって、言ってまわりたい」
「……っ、そ、それとこれとは……」
いつも弁えている凪が、やっぱりこのところようすがおかしい気がしていた。幼なじみにもセフレにも似つかない、独占欲。これはわたしが都合よく捉えすぎているのかな。
足を止めてわたしを見下ろす漆黒が、ゆらゆらとうごく。
「……花鈴、捕まえてないと、離れそうで。最近、とくに」
「離れないから、だいじょ──」
──大丈夫。この言葉を、最後まで言えなかった。
わたしの視線の先に、とある姿を捉えたから。言い終えずに、離さないって思っていた手をわたしから離した。
わたしの視線の向こうへ、つられた凪が振り返ればきっと彼も、そのシルエットを認識したはず。