ながされて、絆されて、ふりむいて
べつにわたしは、新しい恋をしたいわけじゃない。
茅野以外の名字はいらない。
だけど、なぎはきっとそうではないから。
だから最後に伝えようと。関係が壊れたっていいから、伝えようと。
今まで言葉にできなかった"すき"を口にした、のに。
──凪のことがずっと、"すきだった"。
この言葉は、たぶん、消えた。
「……ごめん、聞こえなかった」
これからのわたしたちに1秒たりとも関わることのないバイクの音で聞こえてしまうのだから、わたしたちは初めからそんなものだ。
「……なんでもないよ、お疲れさま」
そのままもう、重ならない。きみの左手とわたしの右手。
噛み合わない、進まない、わたしたちの、歯車。
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