ながされて、絆されて、ふりむいて


お誘いの名目は、いつからかメインディッシュを外れて前菜に成り代わっていた。それはたぶん、わたしがエレベーター内で「やっぱり行きます」と伝えた時点でそうだった。


そのタイミングでハニーチーズ豆腐がやってきて、お通しとドリンクだけの味気ないテーブルに彩りがもたらされる。



「児玉さんがそんなに苦戦するって、純粋に同じ生命体として気になる」


「同じ生命体って……ふふ、そんなひと、たくさんいますよ」



真面目な顔で発するから自然と笑みが溢れた。そんなひと、凪以外にだってたくさんいる。


……たとえば、すこしだけ付き合っていたあのひとも。


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