ながされて、絆されて、ふりむいて
「……幼なじみなんです。となりにいるのがずっと、当たり前で」
ぐ、とアルコールを流し込む。お酒は強くないし好きじゃないけれど、白く濁るもやもやに蓋をするように流し込むのは好きだ。
わたしにだって、お酒でこの社会を、この会社を生きる才はあるのかもしれない。
「じゃあ向こうも、児玉さんがとなりにいるのが当たり前になってるんだ」
「……さあ、どうでしょう」
いただきます、と口にして、はちみつのかかったチーズをクラッカーに乗せた。豆腐感は一切ない、口当たりの良いチーズが幸福を呼び寄せる。
都合の良いわたしは、ぼやける思考も美味しさでアップデートすることができる。
あわせて都合の良い表情筋まで持っているから、口角はまつ毛みたいに上向きにゆるまる。