ながされて、絆されて、ふりむいて
「月曜日、また会社で」
誰にでも好かれる爽やかさを振りまいて、わたしたちの横を通り過ぎていった。立ち止めていた足をまた、動かし始める。となりを歩くひとはやっぱりいつもより視線が高くて、慣れない。
「(また、誤解されちゃったかな。断った、って啖呵切ったのに)」
焦燥感や独占欲、凪に見え隠れした黒っぽく濁る感情はもう、なかった。
「(月曜じゃ、嫌。本当は土日だって、会いたい)」
「もう疲れた」なんて言って手を離したのはわたしのほうなのに、こころはちっとも納得してくれない。
「茅野も最寄り近いんだな」
「……そう、みたいですね」
休止符を挟んで、当たり障りのない相槌を打つこと、それがわたしの精一杯だった。
わたしの返答にそれ以上会話を広げる意図がないと察したのか、わかりやすく話題はほかへと切り替えられた。